浮力開閉バルブ式の密閉型空気制動調圧水槽-発明の効果

【発明の効果】
本発明の効果を、【図8】を例として説明する。
浮力開閉バルブ式の密閉型空気制動調圧水槽-図8
日本での水力発電開発において、大規模水力発電の開発は、ほぼ終了した。エネルギーの安定供給、火力発電による環境破壊等の課題により、中小水力発電開発促進が認識され始めているが、発電原価の割高な地点が多く、開発が遅れている。また、コスト低減のために、多くの技術開発が促進され実証されているが、水力発電においては、複雑な水利権、水資源の非合理的な使用状況、河川環境上の維持流量の増大等により、発電に使用される流量は制限される傾向にあるために、発電原価低減が困難となっている。発電原価低減には、水の合理的使用、配分による発電流量の増加、発電専用の発電設備でなく、他の水利施設を兼用する総合的に計画された施設が必要である。
本発明の効果を、箇条書きに述べる。

(イ) 浮力開閉バルブ式調圧水槽の設置自由度の大きさにより、導水圧管路のルートは、自由に設定できる。
【図8】の例に示すように、農業用パイプラインを兼用することができ、水の合理的使用を可能にする。
(ロ)
【図8】の例で、発電導水圧力管路から、水田、畑等に用水を給水すると、圧縮空気タンク内の空気圧力は低下する。したがって、圧力検知器と水車流量調整弁を連動させると、発電流量変化に追従する発電水調運転が可能である。
(ハ) 浮力活用可動式バルブによって、圧縮空気タンク内の最大下降水位の設定が自由にできることにより、調圧水槽の小型化、設計標準化ができる。
(ニ) 流れ込み式水力発電においては、洪水時、異常渇水時に取水停止するが、通常の密閉型圧縮空気調圧水槽では、制水口にバルブがないために、圧縮空気タンク内の空気が流出し、維持管理が繁雑である。本発明では、浮力可動式バルブによって、空気の流出はなく、維持管理は容易である。
(ホ) 既設の水力発電所を再開発する場合に、導水路(開水路)を圧力導水路に変更すると、流積断面積増加(発電流量増加)による発電力(発電量)の増加が可能である。また、水圧鉄管を延長し有効落差の増加をすれば、発電量が増加する。
(ヘ) 貯留式(ダム式)発電において、有効利用水深を大きくとると、本発明以外の調圧水槽は、大型化し工事費が上昇するが、本発明の調圧水槽は、発電負荷追従性を考慮した小型化が可能である。
以上の効果により、中小水力発電原価の低減に、本発明は有効である。

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